日々迷いも不安もある。そんなボクが、24歳でお寺の住職になり、
                自分の道を見つけるまで。白方光円、24歳。突然の祖父の死をきっかけに、四国八十八ヶ所霊場、第57番札所・栄福寺の住職になったばかり。
                この寺で生まれ育ったけれど、住職として足を踏み入れた“坊さんワールド”は想像以上に奥深いものだった!初めて見る坊さん専用グッズや、
                個性豊かな僧侶との出会いにワクワクしたり、檀家の人たちとの関係に悩んだり。お葬式や結婚式で人々の人生の節目を見守るのはもちろん、
                地域の“顔”としての役割もある。職業柄、人の生死に立ち合うことで“生きるとは何か? 死ぬとは何か?”と考えたりもする。
                坊さんとしての道を歩み始めたばかりの光円に何ができるのか。何が伝えられるのか。光円は試行錯誤を繰り返しながら、人としても成長していく……。

演技派キャスト&『ALWAYS 三丁目の夕日』のスタッフが、
                「栄福寺」住職の実体験をもとにした原作を映画化!24歳で突然坊さんになった主人公・白方光円を説得力たっぷりに演じるのは、
                シリアスからコメディまで幅広くこなす演技派・伊藤淳史。温かく人情味にあふれ、“こんな坊さんに近くにいてほしい”
                と誰もが思うような、魅力的な光円像を体現している。光円を取り巻く人々を演じるのは、山本美月、溝端淳平、濱田岳、松田美由紀、
                そしてイッセー尾形など、個性的なキャストたち。それぞれに味わい深い演技で各キャラクターを好演。感動のドラマを盛り立てる。
                原作は、栄福寺の住職・白川密成氏が実体験を生き生きとつづった話題の書籍「ボクは坊さん。」。糸井重里氏が主宰するWEBサイト
                「ほぼ日刊イトイ新聞」で約7年間にわたり連載されていた人気エッセイが、書籍化を経て、満を持しての映画化となる。監督は、
                『ALWAYS 三丁目の夕日’64』で監督助手を務めるなど、第一線の現場でキャリアを積んできた新鋭・真壁幸紀。待望の長編監督デビュー作で、
                笑いあり涙ありの心温まるエンターテインメントを作り上げた。スタッフも、日本アカデミー賞最優秀撮影賞を3度受賞している撮影の柴崎幸三をはじめ、
                『ALWAYS』シリーズのベテランがずらり。スクリーンに映し出される四国や高野山の美しい風景も、本作の見どころの一つとなっている。

生きるとはどういうこと? 人間は死んだらどうなるの?心に響く、生きるヒントの数々。
                『ボクは坊さん。』で描かれるのは、身近な存在ながらも、一般人はあまり知る機会のないお坊さんの日常。お坊さんだって悩みも迷いもあるし、
                心が折れることもある。お酒も飲むし恋もする。不器用ながらも真摯に、周りの人に心を配りながら、人生の疑問一つ一つに自分なりの答えを見つけ出そうとする光円。
                日々を丁寧に、自分らしく生きるその姿に、勇気をもらったり、共感する人も多いにちがいない。さらに本作には、「近くして、見難きは、我が心」、
                「自分は自分一人で自分なのではない。まわりの世界があってここにある」、「起きるを生と名付け、帰るを死と称す」……など、
                人の暮らしの役に立つ仏の教えもちりばめられている。2015年は、弘法大師空海が高野山を開創してからちょうど1200年の節目の年。
                その記念イヤーに、“坊さんワールド”にどっぷりつかって、長年語り継がれてきた教えにあらためて耳を傾けてみてはいかが。その言葉が心の癒しとなったり、
                生きる上でのヒントをくれるはずだ。見ると心がふわっと軽くなり、何気ない日々が愛おしくなる。
                笑って、泣いて、人生にちょっぴり前向きになれる。珠玉の感動作が誕生した

かつて弘法大師空海が開いたとされ、今は“お遍路さん”
                として巡礼する人も多い四国八十八ヶ所霊場。その第57番札所、愛媛県今治市の栄福寺で生まれ育ったボク、白方進(伊藤淳史)。
                仏の教えの聖地・高野山の山上都市にある高野山大学で修業をおさめ、お坊さんとしての資格といえる“阿闍梨(あじゃり)”の位を得て、
                実家の寺に帰って来た。が、今はすっかり髪も伸び、地元の本屋で書店員として働いている。進のことをずっと“和尚”と
                呼び続けている幼馴染の京子(山本美月)と真治(溝端淳平)は、進がお坊さんになることを期待しているようだが、進にはまだその決心がつかない。
                一方母・真智子(松田美由紀)、父・一郎(有薗芳記)、祖母・宣子(松金よね子)は進の思いを尊重してくれている様子だ。

高野山大学時代の友人はというと、孝典(渡辺大知)は実家の寺に入ったが、
                広太(濱田岳)は進と同じく、お坊さんにならず一般企業に就職していて、境遇が同じもの同士、電話で語り合ったりすることもある。
                そんなある日のこと、栄福寺の住職で進の祖父である瑞円(品川徹)が病に倒れ、寺に住職がいなくなる事態に。進は、
                いつも自分を優しく見守ってくれた瑞円とのやりとりを思い出す。幼い進が、「人間って死んだらなーんもなくなっちゃうの?」と聞いた時、
                じいちゃんは「そういうことが気になるんか。そしたら坊さんになれ」と言ってくれた……。自分の進むべき道がはっきりと見えた進は、
                瑞円が考えてくれていた僧名・光円に改名し、お坊さんになることを決心する。それを見届けるかのようにして、その翌日、瑞円は「起きるを生と名付け、
                帰るを死と称す」と言葉を残し、遷化(せんげ:高僧が亡くなること)した。

こうして、光円は24歳にして、栄福寺の住職となった。
                知っているようで知らなかったお寺の世界は、奥が深い。さまざまな坊さん専用グッズ、個性豊かな僧侶たち、初めて聞く仏教用語……。
                檀家の人たちとお寺について意見交換をする総代会では、“たっしん”の意味がわからず、恥をかいてしまった。たっしんは、
                葬儀に参列してくれたお坊さんに渡すお布施のことだが、
                大学でも教わらなかった。現場で学ぶべきことなのだが、光円にはこれまでその機会がなかったのだ。そんなある日、光円は京子に誘われ、
                真治が働くバーに飲みにいくことに。すると、2人に話があるという京子が、なんと突然の結婚宣言。お相手は職場の同僚のトラック運転手だという。
                京子に頼まれ、結婚式を執り行う光円。そう、お寺は結婚式も執り行うのだ。光円が少しずつ住職としての経験を積んでいく一方、
                広太は会社を辞めて引きこもりになっていた。

あの頃のように、「母も父も、そのほか親族がしてくれるよりも、さらに優れたことを、
                正しく向けられた心がしてくれる」と仏陀の教えを唱える3人。すがすがしい1日が始まった。現代の暮らしにも仏の教えが役立つことを一般の人々にも伝えたい、
                と立派な演仏堂を建設するなど、お寺のことを考え、さまざまなアイディアを出して実行していく光円。だが、栄福寺の檀家の長老・新居田(イッセー尾形)は、
                「近くして、見難きは、我が心」という弘法大師空海の言葉を光円に伝える。それは、場所よりも、まずは自分の心を整えろという新居田からのメッセージで、
                自分なりに一生懸命やっている光円はがっくり。そんな光円を励ましてくれるのは、お腹が大きくなった京子だった。

 だがほどなくして光円のもとに、悪い知らせが。京子がお産の最中に脳内出血を起こしたらしい。
                無事男の子が生まれたものの、京子は意識不明のまま……。このままずっと目覚めないかもしれないと医者に聞かされた京子の夫は、京子と離婚してしまう。
                自分に何ができるのかと悩む光円……。そんな光円の姿を見た新居田は、初めて光円に心を開く。光円は新居田との会話をきっかけに、
                引き取り手のない京子の赤ちゃんを預かることを決意。一方、真治は「俺たちにとって京子は本当に生きていると言えるのか?」と葛藤する気持ちを光円にぶつける。
                光円は、密教の教えを説き、「京子との関係は、今までと何も変わっていないと思える」と答えるが、真治に本心を問われ何も答えることができなかった……。
                そして自分の無力さを改めて痛感した光円は、心が折れて倒れ込んでしまう。そんな時、光円の元へ訃報が飛びこんでくるのだった……。

原作:白川密成 SHIRAKAWA Missei/1977年、愛媛県出身。四国八十八ヶ所霊場、第57番札所、栄福寺住職。原作本「ボクは坊さん。」(ミシマ社)著者。高野山大学卒業後、書店員として働くが、祖父である先代住職の遷化を受けて、四国八十八ヶ所霊場、第57番札所、栄福寺住職に就任。「ほぼ日刊イトイ新聞」のファンだったことから、住職の日常を綴るという企画を自ら提案したことがきっかけで、同サイトに連載を始める。著書に「空海さんに聞いてみよう。心がうれしくなる88 のことばとアイデア」(12 /徳間書店)などがある。 コメント

監督:真壁幸紀 MAKABE Yukinori/1984年、東京都出身。大学卒業後、ROBOTへ入社。CM制作部を経て、映画の演出部へ。『踊る大捜査線』シリーズで本広克行、『ALWAYS 三丁目の夕日’64』で山崎貴に監督助手として師事した後、ディレクターデビュー。12年にショートフィルム「THE SUN AND THE MOON」が、映画監督ウォン・カーウァイとルイ・ヴィトンにより開設された国際的映画コンテスト「Journeys Awards」において審査員グランプリを受賞。東京スカイツリー1周年記念作品「TOKYO SKY STORY」やネスレシアター「Starry Night」などのショートフィルムをはじめ、TVドラマ「カノジョは嘘を愛しすぎてる  サイドストーリー」、舞台「マティーニ!」などを手がける。本作が長編映画初監督となる。

脚本:平田研也 HIRATA Kenya/1972年、奈良県出身。ROBOT所属。02年、『Returner』(山崎貴監督)に共同脚本として参加する形で映画脚本デビュー。その後も映画、テレビドラマなどの脚本を担当。主な脚本作品には、『SHINOBI』(05/下山天監督)や、09年に第81回米国アカデミー賞短編アニメ賞を受賞した『つみきのいえ』(加藤久仁生監督)など。  音楽:平井真美子 HIRAI Mamiko/ピアニスト/作曲家。誰にでも去来したことがある想いをトレースするかのような美しく親しみやすく前向きなメロディー、静的でも動的でもある生きたメロディーがクリエイターの厚い信頼を得ており、映画・CM・TV番組を中心に多くの音楽制作を手掛ける。オリジナル・ピアノソロアルバムは「Piano Diary」(07)、「夢の途中」(13)を発表。12年、アメリカのS&R Washington Awardを受賞。 エグゼクティブプロデューサー:安藤親広 ANDO Chikahiro/1963年、愛知県出身。ROBOT所属。CMプロデューサーとして数々のCMを手掛ける。その後、96年の映画『7月7日、晴れ』を皮切りに、映画プロデュースを手掛ける。以降、『海猿』シリーズ、『ALWAYS  三丁目の夕日』シリーズ、『踊る大捜査線 THE MOVIE』シリーズ等、多くの話題作でプロデューサーを務める。

撮影:柴崎幸三 SHIBASAKI Kozo/撮影技師として多数の作品に参加。第22回、29回、38回の日本アカデミー賞でそれぞれ『愛を乞うひと』(98/平山秀幸監督)、『ALWAYS  三丁目の夕日』(05/山崎貴監督)、『永遠の0』(13/山崎貴監督)で最優秀撮影賞を受賞している。その他『OUT』(02/平山秀幸監督)、『小川町セレナーデ』(14/原桂之介監督)などの撮影も担当。照明:上田なりゆき UEDA Nariyuki/1954年、熊本県出身。89年に『ウンタマギルー』(高嶺剛監督)で照明技師デビュー。98年には『愛を乞うひと』(平山秀幸監督)で日本アカデミー賞最優秀照明賞などを受賞。主な作品には、『夢二』(91/鈴木清順監督)、『伝染歌』(07/原田眞人監督)、『永遠の0』(13/山崎貴監督)などが挙げられる。 録音:赤澤靖大 TATSUTA Tetsuji/装飾・美術監督としてジャンル問わず様々な作品に参加。主な作品に『海猿』(04/羽住英一郎監督)、『ALWAYS  三丁目の夕日』シリーズ(05~12/全三作/山崎貴監督)、『罪とか罰とか』(09/ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督)、『龍三と七人の子分たち』(15/北野武監督)などがある。

美術:龍田哲児 TATSUTA Tetsuji/装飾・美術監督としてジャンル問わず様々な作品に参加。主な作品に『海猿』(04/羽住英一郎監督)、『ALWAYS  三丁目の夕日』シリーズ(05~12/全三作/山崎貴監督)、『罪とか罰とか』(09/ケラリーノ・サンドロヴィッチ監督)、『龍三と七人の子分たち』(15/北野武監督)などがある。 編集:森下博昭 MORISHITA Hiroaki/1975年、群馬県出身。編集技師として数多くの作品に参加。主な編集作品には『鏡の女たち』(02/吉田喜重監督)、『ベロニカは死ぬことにした』(05/堀江慶監督)、『ガチ☆ボーイ』(08/小泉徳宏監督)、『ヘルタースケルター』(12/蜷川実花監督)、『海月姫』(14/川村泰祐監督)などが挙げられる。

空海(お大師さま):宝亀5年(774年)に讃岐(香川県)に生まれた僧侶。804年唐に渡り、真言密教を日本にもたらし高野山を開創した。「お大師さま」と呼ばれるのは、「弘法大師」という諡号(しごう)(おくりな)から。/高野山(お山):千メートル前後の山々に囲まれた和歌山県にある日本仏教の聖地。平安時代のはじめに空海によって真言密教の根本道場として開かれた。/護摩(ごま):密教で火を使って行う修行法。もとはインドの古い祭祀を取り入れたものである。本尊を招き、護摩木を積んで燃やし、火に五穀、五香などを投じるなどして供養する。/阿闍梨(あじゃり):宗派等により様々な解釈のされる語であるが、本映画の中では、密教における「伝法灌頂(でんぼうかんじょう)」(人の師たる位を受ける儀式)を受けた僧侶のこと。

たっしん:もとは「お布施すること」「供物」「供養」などの意味がある。映画の舞台となる地方では、特に「僧侶の葬儀」において、読経・修法した僧侶達に対するお布施をさす。/奥の院:寺社の本堂、拝殿の奥にある開祖などを祀った堂などを指すが、特に空海の入定(にゅうじょう)した高野山の奥の院は著名で、この映画でもそれを指す。高野山では、空海御廟(ごびょう)と参道入り口までの一帯を指す。/枕経(まくらきょう・まくらぎょう):ひろく一般には、通夜や納棺の際に、死者の枕元で経を読むことを指すが、本映画の舞台になった地方では、亡くなった報を受けた僧侶が、直ちに自宅を訪問し経を唱えることを「枕経」と呼ぶ。/戒名(かいみょう):本来、生前に仏教の戒を受ける際に授かる名のことであるが、中世末期頃より、死者に対して与えられるようになった。映画の主人公の宗派では正式には法号であるが、日常には「戒名」の語が用いられる。

高野山開創1200年の節目となる2015年に公開を迎える『ボクは坊さん。』。四国八十八ヶ所霊場・第57番札所・栄福寺の住職である白川密成氏が、約7年間にわたり「ほぼ日刊イトイ新聞」に連載し、2010年2月に書籍化された人気エッセイをもとにした映画である。『ALWAYS  三丁目の夕日』シリーズなどをプロデュースしてきたROBOTの安藤親広プロデューサー(以下安藤P)が、知人の紹介で原作本「ボクは坊さん。」を手にしたのは、書籍発売後まもない時期のこと。ちょうど親の葬儀でお坊さんと接する機会があり、その仕事内容に興味を持ちはじめた頃だった。「母親の葬式の時に、お坊さんにさりげなくお墓の営業をされたんです。このタイミングでそんな話をしなければならないなんて、お坊さんも大変なんだな……と思っていたところに、この原作と出会って、これは映画になるのではないかと」。『海猿』シリーズ、『踊る大捜査線THE MOVIE』シリーズなども手掛けてきた安藤Pにとって、“職業もの”映画は、得意とするジャンルでもあり、映画化の企画を立ち上げることに。正式に制作が決定するのはまだ先のことになるが、密成氏も映画化を快諾し、じっくりとプロジェクトが進められていった。

企画を進めていく中で、世間ではお坊さんとざっくばらんに話せる坊さんカフェや坊主バーが人気を集めたり、2014年の四国霊場開創1200年に伴い、お遍路ブームが加速したり。さらに、女性誌、カルチャー誌、経済誌など、多くの雑誌で仏教が取り上げられる機会も増えていった。「高野山開創1200年の機会に、この物語を映画化したかった。もし、それまでに成立しなければ、この企画はあきらめようと思っていました」という安藤Pは、熱い思いで、映画化に向けて取り組んでいった。脚本は、『リターナー』(02)や、米アカデミー賞短編アニメーション賞ほかを受賞した『つみきのいえ』(08)などを手がけた平田研也が担当。ひとりで栄福寺を訪れ、白川密成氏に3泊4日の密着取材をさせてもらうなどしてお坊さんの仕事を徹底的にリサーチ。原作をベースにしつつ、リアリティのある脚本を書き上げた。

24歳で突然、住職になる主人公・白方光円役は、『ビリギャル』での好演も記憶に新しい伊藤淳史に決定。『海猿』などですでに伊藤と仕事をしていた安藤Pは、「伊藤さんは、周りの役者の良さを引き出し、お互い共鳴するような演技ができるので、お坊さん役に合っているのではという思いがありました。また、白川密成さんに、どこか雰囲気が似ていて、たたずまいがお坊さんに近かったんです。それに彼はいつも一生懸命ですし、ぜひこの役をやってほしかったんです」と語る。そして、ヒロインの京子役には、山本美月。彼女が地元の福岡から上京して来たばかりの頃に顔を合わせたことがあり、「いつか一緒に仕事をしたいと思っていた」と安藤P。今治弁をマスターし、本作に臨んでいる。そして、親友の真治役には溝端淳平が決定。光円の心の葛藤を代弁するようなキャラクターに、溝端のもつ真っ直ぐさや爽やかさを活かしたかったというが、見事に期待に応えている。ちなみに、実はどちらの役も原作には登場しない映画独自のキャラクター。ふたりの存在が本作をよりドラマティックなものにしている。さらに、高野山大学時代の同級生・広太役として、映画製作が正式決定する前から、「この役で出演したい」と意思表示してくれていた濱田岳。光円を優しく見守る母親役に、天真爛漫さがぴったりの松田美由紀。そして檀家の長老・新居田役には、ベテラン俳優のイッセー尾形。最初に自らの役のイメージをイラストで書いて提案し、制作陣を感動させたほか、さまざまなアイディアを出して個性的なキャラクターを作り上げている。

本作は高野山のシーン(奥の院の映画撮影が許可されたのは史上初!)を除いては、愛媛県・今治市でロケ撮影を行っている。そして栄福寺のシーンは、白川密成氏が住職を務める栄福寺で実際に撮影をさせていただいた。企画が立ちあがった当初はなかった演仏堂は、2011年に建立され、映画の中で描かれるように、一般の人々に仏の教えを伝える場になっている。熊の彫刻像も実際に栄福寺で所蔵されているもの(※現在は非公開)であり、ありのままの栄福寺がふんだんに映し出される。“栄福寺はなつかしく、まるでやさしいおばあちゃんの家のようにくつろげる場所”と、スタッフが口をそろえるが、栄福寺の持つそんな空気感のおかげで、ハードなスケジュールの中でも撮影は穏やかな雰囲気で進んで行くこととなった。密成氏は、お葬式のシーン、結婚式のシーンのほか、光円のお坊さんぶりなどを現場で監修。伊藤淳史はクランクインの2日前から今治に入り、お経の唱え方などを監修してもらい、お墨付きをいただいたうえで、撮影に臨んでいる。

本作のクランクインは、2014年11月12日のこと。当日の朝には、映画の現場の恒例であるお祓いを、ご祈祷という形で栄福寺にて、密成氏に行ってもらった。厳かな雰囲気の中、「新米のお坊さんの話を、新米監督のボクが撮らせていただきます。いい作品にしたいと思いますので、よろしくおねがいします」と真壁幸紀監督は決意表明。スタッフがより一丸となった瞬間だった。真壁監督は、これまで短編映画の受賞歴はあるものの本作が長編デビュー。大抜擢と言えるが、ROBOTは新たな才能を見いだし、多くの新人監督をデビューさせてきたことでも知られる。山崎貴監督(『ALWAYS  三丁目の夕日』シリーズ、『永遠の0』など)、羽住英一郎監督(『海猿』シリーズなど)、本広克行監督(『踊る大捜査線』シリーズなど)、小泉徳宏監督(『カノジョは嘘を愛しすぎてる』など)ほか、錚々たる監督陣が、実はROBOT制作の作品で長編監督デビューを飾っており、すでに山崎監督や本広監督の現場で経験を積んでいた真壁監督にとっては、大きな期待を受けての初監督作となる。<br> 今年31歳と、映画監督としては若い真壁監督を支えたのは、『ALWAYS』シリーズや『永遠の0』などで活躍してきたベテランスタッフたち。撮影の柴崎幸三は、日本アカデミー賞の最優秀撮影賞を3度も受賞している大ベテラン。照明の上田なりゆきも同最優秀照明賞を2度受賞。その他、日本映画界を代表するスタッフが、作品のクオリティーを確かなものにしている。安藤Pは、「真壁監督のショートムービーでの仕事ぶりは見ていましたし、信頼しているスタッフが参加してくれることになったので、完成作への不安はなにもなかったですね」と語っている。

約3週間の今治での撮影期間、伊藤淳史はずっと現地に滞在。初共演のキャストが多かったが、現場は和気藹々とした雰囲気で進んでいった。山本、溝端とは、初共演シーンとなるバーでの撮影から、息の合ったところを見せ、幼馴染という設定にまったく違和感がなかった。光円と新居田が海を見ながら話すシーンは、栄福寺のある府頭山山頂にて撮影された。明治政府の神仏分離令により、お寺は山の中腹に移動したが、実はここはかつて栄福寺のあった場所。今治の街と海が前方に見えるとても気持ちのいい場所で、素晴らしいシーンが撮影できた(ちなみにこの海で、空海が阿弥陀如来を見たとされるとか)。 また、撮影期間中に誕生日を迎えた伊藤を、スタッフとその日現場にいたキャスト陣がケーキでお祝いしたりも(ケーキを運んだのは、密成さん!)。<br> 今治パートの撮影後、スタッフ・キャストは高野山へ移動。2日間の撮影を終えて、無事クランクアップを迎えた。真壁監督は、どのシーンの撮影でも常に落ち着いており、堂々たる監督っぷりを見せた。そんな仕事ぶりを「静かに淡々と演出する姿が、まるでお坊さんのようにも見えた」と言うスタッフも。イッセー尾形は「監督の『ヨーイスタート』『カット』の声がいい。あの声を聞くと安心する」と評価していたとか。

府頭山山頂にて撮影された。明治政府の神仏分離令により、お寺は山の中腹に移動したが、実はここはかつて栄福寺のあった場所。今治の街と海が前方に見えるとても気持ちのいい場所で、素晴らしいシーンが撮影できた(ちなみにこの海で、空海が阿弥陀如来を見たとされるとか)。また、撮影期間中に誕生日を迎えた伊藤を、スタッフとその日現場にいたキャスト陣がケーキでお祝いしたりも(ケーキを運んだのは、密成さん!)。今治パートの撮影後、スタッフ・キャストは高野山へ移動。2日間の撮影を終えて、無事クランクアップを迎えた。真壁監督は、どのシーンの撮影でも常に落ち着いており、堂々たる監督っぷりを見せた。そんな仕事ぶりを「静かに淡々と演出する姿が、まるでお坊さんのようにも見えた」と言うスタッフも。イッセー尾形は「監督の『ヨーイスタート』『カット』の声がいい。

こうして完成した『ボクは坊さん。』は、“坊さん”ワールドに浸り、あたたかい気持ちで映画館を後にできる作品に仕上がっている。吉田山田による書き下ろしの主題歌「Today, Tonight」もやさしく背中を押してくれる。まるで栄福寺に行ったようにほっとでき、心が癒され、整うような、そんな映画である。光円のようなお坊さんに会いたいと思う方もいるかもしれない。安藤Pは言う。「僕がこの作品を映画化したかった理由がもう一つあって。原作に、『仏教には人々が“共通して”もっている心に語りかけるポップ・ソングのような性格を感じることもある』と書かれていて、それにすごく共鳴したんです。仏教と聞くと構えてしまう人も多いかもしれませんが、現代の暮らしに役立つ知恵とか知識があって、それも映画で描いています。日々の生活は大変なことも多いですが、この映画で少しでも気持ちが軽くなってもらえたら嬉しいですね。映画を気に入ってもらったら、実際に栄福寺や高野山も訪れてもらえるといいのではないでしょうか。おススメのパワースポットです」